不器用な彼氏
2階のお客様用の入り口から小ホールに出ると、迷うことなく上り階段を上がる。
基本的に4階以上は一般のお客様や関係業者も立ち入ることができないので、1階の吹き抜けから続くお客様用階段を3階まで上がると、4階の階段の登り口にある【この先、関係者以外立ち入り禁止】のスタンドの脇をすり抜け、更に上階へと上る。
5階のフロアは、執務室はなく、大小いくつかの会議室と、大量の資料や書籍がある書庫や、備品庫などがある。
このビルに引っ越してから、何度か会議などで使用したことはあるけれど、基本的にはあまり立ち入ったことのないフロアで、自社ビルなのに、妙に落ち着かない。
小ホールから中央にまっすぐ伸びた通路を進むと向かって左側には会議室が並び、いくつかの扉には、使用中の文字と会議の名前が書いてるプレートが掲げてあり、右側には大きな扉が等間隔に2か所。
手前の扉には【書庫】と書かれていて、奥の扉には【倉庫】と書かれている。
一度だけ覗いたことがあるが、扉は別々だけれど、確か部屋の内側ではつながっていて、どちらからでも行き来できるような造りになっていたはず。
目的の場所は、通路の一番奥、社員専用階段側の上り口にあった…と言っても、少し奥ばった場所にあり、扉に【備品庫】と書いてあるプレートが貼っていなければ、壁と同化して、気付きづらい。
そこは、社内で使用する予備の文房具類やファイル類、コピー用紙などが、保管される備品庫で、通常そういった類のものは、各課や係の近くに整然と置かれているので、その補充のために、若手の事務員が月に数回立ち寄る程度で、一般社員は、よほどのことがない限り、あまり足を踏み入れることのない場所だった。
その扉の前にしばしの間、立ちつくし、開けるのを躊躇う。
“どうしょう?会いたい…けど会うのが、怖い…”
複雑な感情が支配し、ドアノブに手をかけるが、開ける勇気が出ずに迷っていると、誰かが階段を上ってくる気配がし、こんなところを見つかってはそれこそまずいと、意を決して重い扉をゆっくり押し開けた。
基本的に4階以上は一般のお客様や関係業者も立ち入ることができないので、1階の吹き抜けから続くお客様用階段を3階まで上がると、4階の階段の登り口にある【この先、関係者以外立ち入り禁止】のスタンドの脇をすり抜け、更に上階へと上る。
5階のフロアは、執務室はなく、大小いくつかの会議室と、大量の資料や書籍がある書庫や、備品庫などがある。
このビルに引っ越してから、何度か会議などで使用したことはあるけれど、基本的にはあまり立ち入ったことのないフロアで、自社ビルなのに、妙に落ち着かない。
小ホールから中央にまっすぐ伸びた通路を進むと向かって左側には会議室が並び、いくつかの扉には、使用中の文字と会議の名前が書いてるプレートが掲げてあり、右側には大きな扉が等間隔に2か所。
手前の扉には【書庫】と書かれていて、奥の扉には【倉庫】と書かれている。
一度だけ覗いたことがあるが、扉は別々だけれど、確か部屋の内側ではつながっていて、どちらからでも行き来できるような造りになっていたはず。
目的の場所は、通路の一番奥、社員専用階段側の上り口にあった…と言っても、少し奥ばった場所にあり、扉に【備品庫】と書いてあるプレートが貼っていなければ、壁と同化して、気付きづらい。
そこは、社内で使用する予備の文房具類やファイル類、コピー用紙などが、保管される備品庫で、通常そういった類のものは、各課や係の近くに整然と置かれているので、その補充のために、若手の事務員が月に数回立ち寄る程度で、一般社員は、よほどのことがない限り、あまり足を踏み入れることのない場所だった。
その扉の前にしばしの間、立ちつくし、開けるのを躊躇う。
“どうしょう?会いたい…けど会うのが、怖い…”
複雑な感情が支配し、ドアノブに手をかけるが、開ける勇気が出ずに迷っていると、誰かが階段を上ってくる気配がし、こんなところを見つかってはそれこそまずいと、意を決して重い扉をゆっくり押し開けた。