雪の華
初雪

よく、家の前を通る女子高生…


かわいい…だけど…どっか寂しげで。


子供らしくない容姿と雰囲気。


茉叶の友達なんだろうな…最近よく見かける。


俺は21歳。

中田 皇雅

車が好きで…運送会社に就職した。

宅急便とは違うから荷物があればどこにでも走る。

トラックで寝るのも慣れた。


最初は夜の運転が辛かった。


自分の肘がぶつかった拍子になるクラクションで起きたりした事もあった。


俺の家は4人。

姉ちゃんがいる。

自由人だから全然家にいない。

普通のOL。


そんな俺も自由人…。

かったるい学校をやっと卒業して、今の会社に入って…3年目。


彼女いるけど…告白されて適当に付き合ってた。

だけど…好きな訳じゃないし、今別れ話をしてるとこ。


俺って…本気で恋なんてした事あるのか…。


仕事して普通に生きてさえいれば良かったんだ。


だけど…最近よく見かける女の子。

新しい制服がぎこちない。


話してみたかった…。


かわいいし…。


だから…茉叶の兄貴と俺は幼なじみだから頼んで会わせてもらえる事になった。


咲雪は偶然だと思ってる…。


初めて会った瞬間…一目惚れした。


冷めてるかと思ってたら、よく笑うし人に気をつかう子だった…。


見た目は本当にキレイな子。


緊張を隠してサラッと聞いた連絡先。


幼なじみのタイガ…「彼氏、今いないの?」


「いないです」


「何人と付き合ったの?」


それも聞くの?


「2人です」


「へぇ…イケメン?」


「嫌…4ヵ月くらい付き合ったかな…振っちゃいました」


「何かされたの?」


「好きじゃ…なかったから…最低ですよね?」

わかる…その気持ち…。


俺と一緒…。


タイガは俺を指さして


「コイツの元カノ4人…」

「そこいらなくない?お前より少ないし」


俺の話しはどうでもいい。


咲雪の話しが聞きたい。


タイガは邪魔だ…。


だから解散してから連絡してみた。


「はい」

「わかる?」

「わかります…」

そんなぎこちない会話も1週間くらいでなくなった。


問題はみさき…。

こんなにうるさい女だったとは…気性も荒いしいいとこない…。


「いい加減、別れてくれない?」

「毎日言われると…疲れたし、わかった」

「じゃあ…」

俺は冷たいヤツだ。


だけど、咲雪は違う…

今までにない感情。

好き…だし、会いたいし、毎日声聞きたい。


一目惚れから始まった恋。

俺は告白した。

振られるのがこわかったけど、付き合いたかったから…



頑張った俺…。


初めて2人で会った時は緊張した…。

何話したっけ?覚えてない。


色々話すうちに親と上手くいってない事がわかって…

寂しげに見えたのはそのせい。


俺に甘える彼女がかわいくて仕方ない。


「キスして…」


とか言われたらヤバイ…。


それだけで終わらなくなるし…。


俺は咲雪に会って生きてる意味がわかった気がした。


いつ死んでもいいと思ってたし…。

でも今は死にたくない。


別れるとか考えられないし、結婚したいし。

だから貯金するようにもなった。


変わったな…俺。


幸せな毎日だったのに…またみさきが現れた。

厄介だ。


咲雪がいる時に来たし、ありえない。


だけど…この日からみさきはエスカレートしていった。


仕事から帰れば家の前にいるし、彼女の家にまで行ってるらしい。


迷惑になるから…まずみさきを止めたい。


だから…別れた。

理由は言わない。


またいつか…会いたいし…。


彼女になってもらいたいし…。


そんな願いを込めながら別れた。



みさきに何を言っても通じないから先輩に相談。

彼氏だし…。


同じ会社だし気まずいから言えなかったけど限界。


もう…うんざりだった。


ただでさえ…咲雪と別れてショックなのに…



みさきの事が解決した頃聞いた、咲雪の退学。


足…大丈夫?何度もメールしようとした。


でもできなかった…。


会社の人との飲み会に行く途中に見た…地下鉄のホームのポスター…


ドレス着て笑う咲雪…


元気なんだ…良かった。


ケータイで写したポスター。


会いたくて…仕方ない。


俺が初めて好きになった人だから…


遠く感じるこの距離が嫌だった。


こんな時はタイガだ。


頼み込んでセッティングしてもらった。


クリスマスに渡すはずだったプレゼントもあるし。



再会できたら渡す…

そう決めていた。


咲雪の物はそのまま置いておく。

少しでも近くに感じていたいから…



「俺の事忘れないで」


そう願いながら…。


何度振られてもいいから…


俺は会いたい。


咲雪にだったら何を言われてもいい。


全て許せるし、俺が愛した唯一の女だから…。
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