塩顔男子とバツイチ女子
2.バツイチ女子の日常




遡る事、半年前―――。




あれは私が夜勤明けでボロボロになって帰ってきた朝の出来事だった。
結婚してからは独身時代に比べて夜勤はずいぶん減っていたのだけれど。同僚・上司が次々とインフルエンザにかかって欠勤。非常事態故にもちろん私も駆り出された。

その日は土曜日で。夫はごく普通のサラリーマン。三年付き合って結婚した。



「ただいま…」

「うわっ、ボロボロじゃん」


化粧なんてとっくに崩れてるし、クマは当然。疲労と眠気で目も据わってる。事故らずに帰ってきた事が奇跡。髪の毛は一括りにしていたからゴムの跡が付いて色んな方向にうねってる。


「猛烈に眠たい…」

「うん。でもさ、ちょっとここに座ってくれない」


夫に促されてソファーに座ったけど、正直そのまま眠れそうな勢いだった。シャワー浴びるのも面倒だなぁ…。でも汚れてるし汗もかいているし、このまま眠るのも気持ち悪い…。


「…突然なんだけど、離婚してくれないかな」

「うん…離婚……」


離婚…?今、離婚って言った?


「離婚?!何でっ?!」


結婚して三年。子どもはまだいないし、私はこんなにボロボロ…だから?いや、それはあくまでもここ一週間くらいの話で。


「妊娠したんだよね」

「妊娠?」

「彼女が。三ヶ月だって。早いうちに籍入れて、ちゃんと父親のある子にしたい」


彼女が妊娠…三ヶ月…。どういう事?

この時の私は本当に頭が真っ白で、奈落の底に落ちていくような感覚だった。
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