塩顔男子とバツイチ女子


お返しにはハンドクリームとボディークリーム、バスボム、ハンドタオルの詰め合わせにプリザーブドフラワー、それからプリンケーキなる焼き菓子が入っていて、母はセンスがいい!!さすが女子!!と大喜びだった。なつみさんからのお礼状も嬉しそうに読んでたし。


「そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?なつみちゃんのこと。お礼状貰うまで名前すら知らなかったんだから。クリスマスとお正月の時点で付き合ってるのかなって思ってたけど」


母は温かいきつねそばが入った器を置きながら言った。甘辛な油揚げと椎茸、それからたっぷりのネギとすりおろした生姜が少し。風邪を引いてる時の昼食は大体うどんか蕎麦、重症な時はお粥。昔から定番。


「付き合ってるとかわざわざ言わないよ。蒼じゃないんだから」


蒼は恋愛もオープン。家にも連れて行くしお母さんやばーちゃんとそういう話もする。俺達にも全然隠さないし。


「俺からなつみさんの事を勝手に言っちゃうのはどうなのかなって思うし。みんな誰でも言われたくない事があるじゃん」

「それはまあそうね。あ、写真ないの?」


なつみさんの写真…。クリスマスに祥太くんを抱っこしてる写真くらいだな。俺、なつみさんと写真撮ってない。


「見せて。顔見るくらいならいいでしょ?」

「やだよ。何で母ちゃんに見せなきゃいけないの」


いざとなると何か嫌だ。恥ずかしいとかじゃなくて、ムズムズするっていうか。なつみさんのお母さんに会って、相手の親に会うのは意外と平気なんだなって実感したけど。


「うちは男ばっかりでつまらないのよ。刺激がない!お兄ちゃんは彼女連れてきたりしてたから、娘が出来たみたいで嬉しかったけど。あんたはそういうのカケラもないから」
< 163 / 191 >

この作品をシェア

pagetop