塩顔男子とバツイチ女子

｢俺も、なつみさんて表情がよく変わるなって、この前気づいた。なつみさんと話してるとほっこりするなって思ったし。俺の嘘で知り合ってからまだほんの少ししか経ってないのに、ここまで打ち解けるのってすごいなって感じてます｣


蒼と打ち解けるのでさえ二ヶ月くらいかかった。あいつはガンガン俺に話しかけて、俺はうるせーヤツだなって思った。最初は嫌だったけどそれが毎日当たり前になってきて、俺を通り越す勢いで踏み込んで来る蒼につい笑った事がキッカケだった。

『お前、何だかんだ表情変わってるからね。無の時が多いけどムスッとしてたり、ちょっと笑ってたり、女子はクールでカッコイイとか騒いでるけど、それだけじゃないって俺気づいてるから』

ストーカーか！って言い返したけど、俺は誰が見ても分かるくらい声を出して大笑いして、蒼も大笑いして。


北斗くんは一気に話切ると、その場面を鮮明に思い出したと笑っている。


｢私と北斗くんの波長が合うのかもね｣

｢そうだと思う。あとなつみさん、自分の事をボロボロだとか言うけど、それはなつみさんが仕事を一生懸命やってるからだと思うし、俺はカッコイイと思うから｣

｢じゃあ、勲章だと思うようにしようかな｣


一人でもそうやって言ってくれる人がいるなら、自分を認められるような気がするから不思議だ。