切リ取リマスカ?
☆☆☆

無駄な喧嘩をする必要なんてない。


とにかく写真があればそれですべてが丸く収まるんだから。


あたしは自分自身にそう言い聞かせ、サッカー部の写真をかき集めていた。


写真の中に大雅と楓先輩が写っていればそれでいい。


別にツーショットじゃなくてもいいんだ。


楓先輩なら間違いなく練習を見に行っている。


その時に偶然写ったようなもので構わなかった。


そう思い、サッカー部に保管してあるアルバムを貸してもらい、その1枚1枚を隅々まで確認していく。


しかし、どこにも楓先輩の姿が映っているものはなかった。


「なんでないの!?」


サッカー部の部室で声を荒げ、頭をかきむしる。


大雅の事を信用していないワケじゃないけれど、楓先輩が大雅を狙っているということが目障りだった。


楓先輩が試合に来られたら気が散って応援しどころではない。


「どうにかして2人の関係を切り取らないと……!!」


あたしは役立たずなアルバムを思いっきり壁に投げつけて、肩で呼吸を繰り返したのだった。
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