切リ取リマスカ?
予期せぬ展開
大雅からサッカーをやめると聞いて数時間が経過していた。


教室内での大雅の様子はいつも通りだし、あの言葉は冗談だったんじゃないかと思うくらい変化はなかった。


「今日はやけに大雅に熱っぽい視線を送ってるね」


休み時間に大雅の様子を見ていると紀子にそう言われた。


「別に、そういうわけじゃないけど」


あたしはそう返事をして苦笑いを浮かべる。


「そう? いつもより見てるよねぇ?」


愛までそんな事を言ってくるので、あたしは意識的に大雅から視線を外した。


「2人とも、大雅から何か聞いてたりしないよね?」


「え? なにを?」


あたしの質問に同時に首を傾げる紀子と愛。


さすがに、この2人に大雅から話をすることはないか。


あたしの親友たちだから、もしなにか聞いていたらと思ったけれど、的外れだったようだ。


「なんでもない」


「なによ。気になるじゃん」


紀子があたしの肩を叩いてそう言って来た。


できればあたしも相談したいけれど、大雅の心がまだ揺れ動いている最中なら、変に刺激するのはよくなかった。


「なんでもないよ」


あたしはもう一度そう言い、話題を変えたのだった。
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