切リ取リマスカ?
あたしは唖然として2人を見つめていた。


なんだかこういう光景に見覚えがある気がした。


それがなんだったのか、思い出せないけれど。


「一緒にプロ目指そうぜ、大雅」


「あぁ、そういうのは嫌いじゃない」


赤瀬君が松若君の手を握りしめた。


こんな光景、一度も見たことがないはずなのに、なぜだか懐かしいような気がした。


まるで、記憶の奥底に眠っている記憶があるかのような感覚だ。


「やっぱり赤瀬君と松若君はサッカーが大好きなんだね」


紀子がそっとそう言って来た。


「え?」


「大好きなものとの関係はそう簡単には切り取れないってこと」


紀子の言葉にあたしは何か重要な事を思い出しそうになった。


けれど、それもすぐに記憶の奥底へと沈んでいく。


あたしはすぐに記憶をたどることを諦めて、目の前にある真実を見つめた。


手を握り合う2人のクラスメート。


あたしの胸はとても熱くなっていた。
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