切リ取リマスカ?
☆☆☆

今日の試合を見て確信した。


レギュラー選手には大雅が選ばれるべきだ。


誰よりも走り、誰よりもボールに触れていた時間が長い大雅。


試合を見ていた紀子からも夜になってからメールが届いていた。


《大雅は本当にすごいね! 一番走ってたね!》


その文字にあたしは嬉しくなってほほ笑んだ。


ほら、紀子もあたしと同じ事を思ってる。


《でも人気は琉斗のほうが高いんでしょ? 見てても琉斗の方が少しだけ上手かなって思ったよ》


そう続けられている文章に、一瞬にして笑顔は消え去った。


人気は琉斗の方が高い?


琉斗の方が上手?


紀子からのメールにスマホを持つ手に力が入る。


琉斗は休日の練習なんてしていない。


部活が終ったらすぐに帰っている。


そんな琉斗に大雅が負けるはずがない……!


「絶対に、大丈夫。あたしがちゃんと大雅をレギュラーにしてあげるからね」


あたしは小さく呟いたのだった。
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