切リ取リマスカ?
☆☆☆

「心、聞いた!?」


教室に入ると同時に、紀子が駆け寄って来た。


「え、なにを?」


あたしは驚いて目を見開きながらそう聞き返す。


「次の試合の選手、ほぼ確定したらしいよ!」


あたしの耳元に顔を近づけて小声そう言う紀子。


それを聞いた瞬間、頭の中は真っ白になった。


次の試合の選手……。


紀子がこれほど興奮しているのだから、サッカーの試合に決まってるだろう。


だけどあたしはすぐには反応できなかった。


レギュラー決定は今週末。


もう少し先のはずだ。


「だ、誰から聞いたの?」


「サッカー部のマネージャーがつい情報を漏らしちゃったんだって。それが噂になってるの」


そう言い、紀子は教室内を見回した。


そう言われれば教室内の雰囲気が少し違う気がする。


みんなコソコソと小声で会話をしているのだ。
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