切リ取リマスカ?
本当の気持ち
1時間ほどして病院を出ると、大雅は外の空気を思いっきり吸い込んだ。


何かを決心したような、そんな表情を浮かべている。


「心、俺これから学校に戻って部活に出るよ」


「え、今から?」


時間を確認してみると、丁度6時限目の半分くらいが終った所だ。


これからバスに乗って戻れば部活には十分に間に合う。


「あぁ。俺、本当は琉斗が選ばれた時すっげぇ悔しかったんだ」


「大雅……」


「心が俺の写真をみんなに見せてくれた時も、本当は、少しは嬉しかった。これを見てくれた人たちが俺を推薦してくれたら……とか、ダサイこと考えたりもした」


「ダサくなんてないよ!!」


みんな自分の夢を叶えるために必死で生きている。


どんな手を使ってでも夢を掴みとりたいと思っている。


顔や口には出さないけれど、ちょっと卑怯な気持ちだってきっとあるに決まっているんだ。


「ありがとう、心」


大雅があたしの手を握りしめる。


その手はとても力強かった。


「俺は琉斗の分まで頑張るから、心も応援たのむな」


「もちろんだよ!」


あたしは大きく頷き、そう言ったのだった。
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