王子様だってお姫様になりたい
すると大貴が

「おい!」
と言ってきた

「ん?なに?」

大貴はしばらく黙っていたが真っ直ぐに私の目を見つめた

「今日さ、クリスマスイブじゃん?だから特別にこれやるよ!」

そー言って今まで自分の首に巻いていた緑色のマフラーを私に巻いてくれた

大貴のいい匂いがフワッとした。

大貴はニコッとして

「将来日本のバレーボール選手になる男のマフラーだぞが大事にとっとけ!」
と言ってきた。

ドキドキした。大貴はズルい。好きでもないような女子にこんなことするなんて

もしかしたら今が告白するチャンスなのかもしれない

明日から年明けまで練習は休みになっている

大貴に会えなくなる

言うなら今だ

そう自分に言い聞かせた

「だっ、大貴!…あの…さ…」

「おう!なんだ?」

「……メリークリスマス」

「うん!メリークリスマス!じゃあな!」

「うん…」

勇気をだそうとしたが、言葉が出てこなかった。

言うのは卒業式にしよう。

そう覚悟したクリスマスイブ。

大貴から貰ったマフラーはとても優しい匂いがした。
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