緋女 ~前編~

嫌いな学校、出逢った少年



「着きましたね」


ケイが言った。だが、学校らしいものは見つからない。

王子と別れて一週間が経った。

あれから一度も会わずにここまで来たけど、大丈夫かなと心配していたら、ケイは大丈夫ですって言っていた。

この男は出逢った時からずっと不器用で少し意地悪だが優しい。なのにそのことに恐怖をなぜか覚える。

優しさが時々、信じられない。

根拠もなく、戦慄する。


そう、今の彼はどこか違う気がするんだ。


「どこにって言いたげですね」

「だって、どう見たってさら地じゃない」

「実は地下にあるんです、学校」

その暴露に開いた口がふさがらない。

「は?」

「でも、入り口がないんです」

「は?」



「というわけで、レヴィア様。魔力でこの地面ぶっ飛ばして下さい」



「………普通に考えて無理でしょう」

「いえ、大丈夫です。ゴルとシルもすっかり復活しましたし、ここ最近のレヴィア様の魔力の伸びは著しいものがございます」

「まあ、そうなんだけど」

よく分からないのだが、ゴルとシルがある日突然復活した。私も何を悩んでいたのか覚えていない。

ケイは、“まあいいではないですか復活したんですから”と言う。

「分かった。けど、失敗しても笑わないでよね」

「ええ」

「__だから、その面白いものを見る目しないで欲しいんだけど」

「何かおっしゃりました?」

「……いや、なんでも」

そう言って魔力を集中させる。

ここ数日のケイの指導もあって、だんだんコツは分かってきた。

全神経を集中させて、身体中の魔力を一点に集中。



そして___解放する。



「あっ、その前に」

「なによっ」

そののんきな声に発動させようとさせた魔力が散った。

「レヴィア様、名前は名乗らないで下さい」

「えっ」

「あと、カツラです」

そう言ってケイが何かかぶせる。元の髪はその中に収納された。

「なっなんなの?」

「仕上げは眼鏡です」

そう言って、分厚いレンズをかけられる。

「邪魔」

「まあ、そうおっしゃらずに」

ああ、よく最近見るようになった営業スマイルのケイ。


よく似合う、とか言うのかな?


「この眼鏡は翻訳機能がついてるんです。とても役立つと思いますよ?」


確かに、役立つ。

そう思うのに予想と違った言葉に苦しくなった。



< 151 / 247 >

この作品をシェア

pagetop