緋女 ~前編~
「っていうか、昨日寮長のところまで案内した女の子も僕だよ?」
「は?」
新たな暴露にまた固まる彼女。
そうだ。可愛いとかじゃなくて、その反応が面白い。
「そっかー、煩かったかー」
「………」
「でもさー、せっかくレヴィとの約束守ってあげたのに、うるさいって、それはひどくなーい?」
そうからかってあげると彼女は、拗ねたように言う。
「………約束じゃないんじゃないの?」
「………っ」
駄目だ。
彼女をからかうのが楽しい。それは本当だけど、それ以上に彼女の一挙一動に跳ねる鼓動は、不治の病とかそういうので。
何をしていても愛しく思ってしまう。
「………えー、でもレヴィはそう思ってたんでしょー?」
ずっと黙っているのは不自然なので、辛うじて返事をした僕。
この感情は不便すぎる。
自由な僕には似合わない。
「別に、最近はあんまり一人になることがなかったから、少し淋しかっただけ」
「そーお?」
彼女は気づかないだろう。僕の心臓の早さなんて。
他人の皮を被った僕の本当の気持ちなんて、分かるわけがない。
でも、彼女の淋しかったの一言で僕は満たされるのだから。
「まあ、いいや」