白い狐は出会いの季節




「なんでそんなに電信柱が気になるんですか。」



気づいたら口に出ていた。


光さんは異様に電信柱を調べるが、その意図が分からない。


私から見れば、車が衝突して壊れた、としか思えないのだが。


「うーん。君はどう見ても普通の女子高校生だからね。......。まぁいいや!真唯、早く帰ろ。車動かせるでしょ。」


「......。わかりました。」


結局、私の質問はスルーされ、光さんと真唯は車に乗り込んだ。


「あ、そこの男子は寝かせたままでいいから!じゃあ気をつけてね!」




話し終わると同時に車が動きだした。







破れた窓ガラスの白い軽自動車を、見えなくなるまで見送ることしか光さんのいう普通の女子高校生の私はできなかった。





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