白い狐は出会いの季節
昼休みも真唯と行動するつもりでいた。


この学校で頼れるのは今のところ真唯しかいないから。


...けど。


「真唯ー?何処にいるの?」


数分前、真唯は「ちょっと待っててください」と言ったきり戻ってこない。


真唯はカバンの中から財布を取り出していたしお昼ご飯でも買いに行ったのかな。


「余計食べづらくなっちゃったな...。」


私はカバンの中の、昔懐かしのアニメキャラクターの風呂敷で包まれているものを見つめた。


私の親戚が作ってくれたお弁当だ。


あれほどこの風呂敷はやめてと言ったのに、千尋姉さんはどこか変な所で頑固になる。


普段は明るく元気で、常に笑顔だ。


私が知っている限りでは唯一の親戚だと思う。


親がいなくなった理由も分からないのだが、気づいたら私のお母さんの妹、桜井千尋(さくらいちひろ)と暮らしていたのだ。


普通なら私のおばさんにあたる人なのだが、見た目も、年齢もまだおばさんと言える歳ではないので、千尋姉さんと呼んでいる。


きっとお弁当の中身もキャラクター弁当なんだろうな...。


この学校の生徒の前でこれを食べてたらどういう風に見られるだろう?


大体、私が席につこうとした時だっていろんな視線を感じた。


値踏みするような目。




だから、早く真唯には戻ってきて欲しい。



どうやらこの数時間、わたしは完全に真唯に頼りきっていたらしい。


真唯は見た感じおどおどしている少年だと思ったが、少しの時間一緒にいてわかった。


真唯は凄くしっかりしていて、頼れる人だ。


...ん?わかった?


「...私。真唯のこと全然聞いてないや。」



会話の内容はほぼこの学校の事であとはずっとテキストを解いていた。


多分真唯については全然話していないと思う。


今私が知っているのは日向真唯と言う名前だけ...。
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