I line xx
マイルスは好きだけどやっぱり


可愛い曲が好き


そう、愛果は言った


シンプルなドラムと


猫が跳ねるようなフォン


今にも


走り出しそうなそんな曲がいい


キーは高め


流れるようなギターがそれを追いかける


でもさびのフォンは


甘くて優しいメロディーで


熱は平熱に戻ったが、鼻は通りが良くない


机の上にパットのピアノを広げ



鍵盤に触れて音階をたどる


いつの間にか夢中になって


あっという間に一曲完成した


そして思う


今の俺ができるのは


演奏することだけなのだ


どうせならせめて


彼女に向かって一曲くらい演奏してみたい


彼女を思う気持ちを込めて



これにアレンジをすれば


何曲か作れそうだ


ミニアルバムもできそうだった


愛果の驚く笑顔を思い浮かべると


アレンジは数通りすぐに思い浮かんだ



次に名古屋に行った時


彼女の前で演奏できたら


そう思うだけでなんだか胸がドキドキした


愛果ならきっと喜んでくれるだろう


音楽で君を幸せにしてやりたい


心からそう思ったんだ


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