御曹司と愛されふたり暮らし
頬→唇
カーテンの隙間からこぼれる朝日に反応して、目を覚ました。

寝起きで頭がボーッとするのも一瞬で、私はすぐに夕べのことを思い出し、自分の隣で眠る彼の姿を振り返った。


そこには、夕べ同じベッドで隣同士一緒に寝た極上の男性……というよりは、子どもみたいにかわいい寝顔でスヤスヤ気持ち良さそうに眠るハルくんの姿があった。

夕べ寝る前はあれだけ緊張していたけれど、この寝顔を見たらなんだかちょっと気が緩んでしまった。

私は、彼をまだ起こさないように、そう……っとベッドから抜け、自室で着替えると、ダイニングで朝食の準備を始めた。






「おはよ」

しばらくして、スーツに着替えたハルくんが寝室から出てくる。


「お、おはよう」

ど、どうしよう。緊張する。顔合わせるの恥ずかしい。
そりゃ、そういうことはなにもなかったけど、昨日はお互いの気持ちを伝え合って、そのうえで添い寝、したわけだし。

緊張するのが普通だよね?


と、私は思ったんだけど。


「お、玉子焼きうまそうだなー」

イスに座って、さっそくそんなことを言う彼に、ちょっと拍子抜けした。


そりゃあ、お互いに変に意識するよりはいいのかもしれないけど……。


「花菜の作る玉子焼きは、いつもコゲ目が絶妙だよな」


……今はコゲ目よりも、夕べの話の方が大事じゃないですか?と思って、


「……ハルくんは全然いつも通りだね」

と、言ってしまった。

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