御曹司と愛されふたり暮らし
休日→相違と同意
「うーん、いい天気!」

朝起きて、カーテンを開けると、気持ちのいい朝日に包まれる。


それでなくても、三十階の部屋から見下ろす景色はやはり絶景だ。



このマンションで暮らし始めて、二週間が経った。

大家さんの誤解からアパートを出て行かなければならなくなった私は、なんとか無事に引っ越し作業を終えた。
まあ、溜まっていた有休を消化させてもらって時間は確保したし、もともと荷物は多い方ではなかったし、なによりハルくんが「俺のせいでもあるから」と言っていろいろ手伝ってくれたからそこまで大変ではなかった。

引っ越しでバタバタしている時に、クリスマスは過ぎてしまったけど。

年末も、ハルくんは仕事が忙しくて落ち着かない様子で大変そうだった。
でも、年を越す瞬間はマンションのリビングで一緒に迎えられてうれしかった。

新年は、ハルくんは実家に戻らなければと言っていた。
ハルくんはこのマンションに住む前からずっとひとり暮らしをしていたみたいだけれど、新年だけはパーティーがあるからどうしても帰らなければならない、と言っていて、さすが御曹司……と、つい思ってしまった。
パーティーに関しては「花菜も来るか?」なんて言われたけど、とても行けるわけがなく、新年は私も実家に帰って過ごしていた。


私の家族は割と放任主義というか、いい意味でも悪い意味でも大らかで、私の突然の引っ越しに関してもとくに追及することはなかった。
そのため、まさか「高級マンションに男性と一緒に暮らしてる」なんてとんでもない事実も、とりあえず隠し通すことができている。

ちなみに、私がアパートで使っていた冷蔵庫や洗濯機などの電化製品は、ハルくんが私を最初にこのマンションにつれてきてくれた時にすでに最新機能のついている高級製品を用意してくれてあったために、現在は不要になってしまっているのだけど……同居を隠している以上、実家に送るわけにもいかず、かと言っていつまでもこのマンションで暮らすわけではないから、誰かにあげてしまうわけにもいかず。行き場がなくなり、このマンションの広すぎる収納スペースに置かせてもらっている。結局迷惑かけまくりで、申しわけない……。
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