御曹司と愛されふたり暮らし
「アパート、見つかったか?」

夜。
リビングでソファに並んで座って、私の作ったお夕飯を一緒に食べながら、ハルくんに尋ねられる。


「ううん、なかなかいいところがなくて……。ごめんね、モタモタしてて」

「なに言ってるんだよ。俺はいつまでいてくれても構わないんだぜ? 自分で用意しなくてもこんなに美味いご飯が食べられるんだしな」

そう言って私の作ったきんぴらサラダをモグモグと食べてくれるハルくんはどこまでもやさしい。ハルくんの方が料理上手いのにね……。


「でもさ、そもそもこのマンションだって俺の家ってわけじゃないんだし、俺にそんな気を違う必要ないと思うんだけど」

「契約名義はハルくんだし、この家にある家具や電化製品のほとんどはハルくんが買ったものだし、なにより家料のほとんどをハルくんが負担してくれてるんだから、私からしたらここはハルくんの家だよ」

「そうか? うーん、そうか」

私の言葉は、ハルくんにとってはピンときていないようだけど、私が厄介な居候なのは確かな事実だ。
だから早くアパートを見つけてこのマンションから引っ越さなきゃ、とは思ってるんだけど、物件探しはなかなかうまくいかない。

そんなことを考えながら、私がふぅ、と小さくため息をつくと。


「でもさ、来週の日曜日は物件探しは休みにして、ふたりでどこか行かないか?」

と、ハルくんに突然そう言われる。
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