お見合い大作戦⁉︎
すっかり読書に夢中になってしまった。

時計を見たら14時40分だった。

辺りを見回してみてもそれらしい人はまだいないみたい。

そういえば、とふと思う。
あまりにもお見合いに乗り気でなさ過ぎたから相手のことを何ひとつ知らないことに気が付いた。

お母さんが29歳の会社員って言ってたっけ。

どんな人なんだろう?

私の写真が向こうに渡してあるってことは相手の写真もうちに届いているはず。

見てくればよかった。

相手の顔を知っている方が逃げやすかったかもしれない。

もしかしてめちゃくちゃイケメンだったかも?

いやいやイケメンでも真奈美おばさんが見つけてくれた相手なんて!

運命の人は自分の力で見つけたい!

ぐるぐると目まぐるしく変わる思考を抑えようと冷めたコーヒーを口にした。

そうこうしているうちに14時50分。

あと10分待って来なければ私の勝ちだ!

来るな来るな来るな

再び文庫本を読もうとしても何も入ってこない。

早く15時になれ!


これでよかった、よね?

真奈美おばさんや両親の言う通りにちゃんとお見合いには来た。

自分の運命の人は自分で見つけたい。

そう思ってこうやって変装してここに来た。

これでおばさん達や私のためにいいと思って。

だけどこれでよかった?

相手の人はどんな風に思ってお見合いの相手に私を選んでくれたんだろう?

たとえ出会いのきっかけがお見合いだとしても運命の人と出会えるかもしれない。

相手の人がとってもいい人だったら?

イケメンで身長も高くて誠実で高収入な人だったら?

正しいと信じていた自分の足元がグラグラしている。

どうすればよかった?
これでよかった?


時計は14時55分を指している。

スマホをチェックしてお金を払って・・・
それでちょうど15時になるだろう。

相手の人は来なかった。

私は勝利したのだ。

今となっては何に勝利したのかもよくわからないけれど。

それなのにこのモヤモヤは何だろう?

それでも相手が来なかったんだから仕方ない。

私はちゃんとお見合いに来て相手を1時間も待ったのだ。

これでいい。

これ以外どうしようもない。

大きなカバンを持ってゆっくりとレジに向かう。

お金を払ってラウンジから出ようとしたその時。

「村下 笑美さんですよね?遅くなってしまって申し訳ありません!」

汗だくで前髪がボサボサになった男性に声をかけられた。


レジの後ろの柱の時計は
14時59分ーー



【おわり】





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