校庭に置いてきたポニーテールの頃
「ところでさ、浦東は今日は部活か?」

ヒロが突然話題を変える。

「ん?うん、そうだよ。もう行くよ」


「そっか。なあ大嶋、俺今日部活休むって伝えといて。宮西のこと家まで送るわ」

さっきのショックで頭がぼうっとしていた私は、ヒロの言葉を理解するのに時間がかかった。

「……えっ!?いや、いいよ、ヒロ。家だって反対方向だし、私は一人で大丈夫だよ」


唯も言った。

「あっか、今日だけヒロにお願いしなよ。

下村先輩の家だって西小方面だし、出くわしてもおかしくないよ」


そうかもしれないけど、でもヒロと2人で帰るのなんて恥ずかしいし……

私が返事に困っていると、察してくれたのかヒロが言った。


「一緒に帰るっていうかさ、俺が宮西の後をつけていくだけだよ」


私はヒロと2人でいるところを、帰りの方向が同じ真綾ちゃんに見られたくなかったのだ。

なんだかそれもストーカーみたいなんだけどまあいいやと思って、今日だけはお言葉に甘えることにした。

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