校庭に置いてきたポニーテールの頃

そのメモを小さく折りたたみ、こっそりとペンケースの中に忍ばせる。

席についてからもまだ震えの止まらない指先を抑えつけたまま、視線だけを斜め右の方に動かす。


彼の姿を見るのは明日で最後になるのかな。


こうして変わらずに笑っている彼を見ると、この先の日常の中で彼の存在が消えてしまうことがとても信じられない。


私は彼と同じ高校を受験していた。

受験会場の高校にだって、まだ彼の姿はあったのに。


視線に気づかれないうちに、私は彼からゆっくりと目を逸らした。


……どうしたらいいんだろう。


これから起こることを予想すると、胸がどくんと音を立てる。


放課後までの一時間だけでは、心の準備をするのに時間が足りなかった。