校庭に置いてきたポニーテールの頃
2016.10.8 過去の脚色
大嶋とはこの一週間で何度かラインのやり取りをした後に、二人で会う約束を取り付けた。

どちらかが誘ったわけではないけれど、会話の成り行きで自然と会おうということになったのだ。


大嶋は個室がある居酒屋を指定してきた。中学校教諭として働く彼は土日も部活が忙しく、夜しか時間が取れないらしい。

さらに保護者からの目も気になるため、飲みに出るときは相手を問わず、基本的に個室を選ぶそう。


私は、少しだけ複雑な思いでその日を迎えた。

意識的に考えないようにはしていたけど、大嶋との恋の予感も可能性としては考えている。

お互い一度は好きだった相手。何年も再会を夢見ていたのに、まさか今になって実現するとは。


気合が入っていると思われたくなくて、私はあえてボーイフレンドデニムにシャツを合わせ、ゆるくまとめた髪をスカーフで留めた。

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