校庭に置いてきたポニーテールの頃
「あ、ごめん……」

無意識だけど、私はジャージの胸に刺繍されているネームを見ていた。

一瞬で目に飛び込んできた名前を見て、さっき話題にしてたせいか、少しだけどきっとした。

そして私はゆっくりと顔を上げる。

早水くんの顔をこんなに近くで見るのは初めてだった。やっぱりかっこいい顔をしている。


そして意外だったのが、私が思っていた以上に早水くんの身長が高かったこと。

彼は背の順で並んだら多分真ん中くらいだと思うけど、153センチの私より10センチは背が高いんじゃないかな。


「……びっくりした。えっと、大丈夫?」

「うん、私は。ごめんね」

「いや、俺の方こそ。宮西急いでたんだろ、邪魔してごめんな」


そう言って彼は道を空けてくれた。これから部活に行くところだったのかな。


それよりも私の名前、もう覚えてくれたんだ。

私はクラスでは目立つ方ではなかったし、単純にクラスメイトとして嬉しかった。

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