校庭に置いてきたポニーテールの頃
部屋に入りリビングの電気をつけた瞬間に、後ろからぎゅっと大樹に抱きしめられる。

待っていたのはこの瞬間だったのだ。

私は大樹の腕の中で体の向きを変えて、彼の背中に腕を回す。


クールビズのためノーネクタイのワイシャツは、仕事の時よりもさらにボタンを開けていて、くっきりと浮き出た喉仏がかすかな色気を感じさせる。


さすがに今日は飲み過ぎているようだから、そのまま身体を重ねることはないだろうけど、こうして抱きしめられると待ってて良かったなと思う。


抱きしめられたままでふらふらと大樹がベッドの方に歩き出す。

私は大樹の身体を支えながらゆっくりとベッドに腰をかけた。


大樹を隣に座らせると、自分の上半身すら支えることのできない大樹がそのままドサッと横になる。

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