俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集


※※※ ※※※ ※※※


そして、冒頭に戻る。

「はい?どうした?杏。今日は友達と会うんだったんだろ?」

━「そうだったんですけど、来てみたら合コンだったんです!」

「はぁぁぁぁ!?何だよ!」

━「友達には、……かかかか彼氏がいるって言ってあったんですけど、信じてくれてなかったみたいで……」

「何て言ったんだよ」

━「写真はないけど、『宮学の王子って言われてた人』って言えば分かるかと思って……」

「あーーーーーーー」



『宮学の王子』って、駄目だろ。
確かにそう言われて持て囃されてたけど、遊び歩いていたことも周知の事実で。
信じたとしても、遊ばれてるって思われてる筈だから。
はぁ。俺が招いた事、か……。


「とりあえず、迎えに行くから。そのままご飯でも食べとけ」

━「えっ、で、でも居心地悪いです……」

「んっ、でも一人で帰るって言ってそこにいる奴等が送るとか言って付いてこられたら振りほどけないだろ?
迎えに行くから。んで、そのお友達にも分かってもらって今度から誘わないようにお願いしとこうぜ」

━「は、はい!わざわざごめんなさい」

「いや、元々迎えには行くつもりだったし。俺が嫌なんだよ」

━「え、えへ。でも嬉しい。ありがとうございます」


俺が着くまで、友達の側にいろよ。
酒は飲むなよ。
連絡先も駄目だから。
んで、彼氏いるって言っとけ。
今すぐ向かうから、と言って電話を切った。


自分の過保護さに呆れるけど、嫌なもんは嫌なんだ。

でも良かった……連絡くれて。

しかし、何この無自覚さ。
どうしてくれようか。

なんつーか、言い方が可愛いんだよな。



そんな事を改めて思いながら車を走らせる。幸いにも杏のいる店はそんなに遠くなくて、30分もかからず店についた。

事前にラインで聞いておいた予約者の杏の友達の名前を伝えて店員に個室に案内され、扉に手をかけると中から杏の声がした━━━━━。
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