キンダーガーテン    ~温かい居場所に~
事務室に入って先生の机に近づくと

先生に"珍しい"って顔をされた。

普段は、近づき過ぎて園長先生にバレたらって思うと

自然と遠ざかっていたの。

事情を話すと

「直ぐにペンダント持って行くから…部屋に行ってて。」って

わぁ‼まだ持っててくれたんだぁ!!

一瞬気分が上がったものの、これからの事を考えると

やっぱり憂鬱。

5分もしない間に扉が開いて、先生が来てくれた。

「先生……。」

二人になるとついつい弱気になって…

涙目で不安をぶつけてしまう。

「どうしよぅ~。先生……無理みたい…。不安です…。」

甘える唯の頭を、いつものようにポンポンしてくれて

「こ~ら、指導を任されるなんて凄いことだよぅ。自信を持ちなさい。
彼氏としても、1年指導してきた先輩としても嬉しいよ。
唯ちゃんが認められたってことなんだからね!」

「うん、認められたのは唯も嬉しいです…けど…。
そのせいで…航君の指導をするのは……」

「自信がない?」

「自信がないって言うか…。関わるのが怖いです……。」

クスクス笑って

「あぁ、嫌なのはそっち?」って…

もちろんだよぅ。…男の人…苦手なのに…

「何が嫌?怖い?」

「男の人と二人なのが…。大きいし…」

「う~ん…困った子だねぇ~。
別にとって食う訳じゃないのに。…そんなに、嫌?」って

やっぱり笑ってる………。

頷くと

「航は良いヤツだよ。しっかりしてて礼儀正しくて。
でも、唯ちゃんがどうしても苦手だなぁって思うなら
あまり話さないように、前もって作り方を書いて見本と一緒に
渡したらいいよ。」

先生のアドバイス通り、作り方と見本を持って

航君のクラスに行ってたら

「唯ちゃん付いていくよ。」って背中をポンッと叩かれた。

驚く唯に

「ダンナに頼まれた。
唯ちゃんに、悪い虫が付かないようにって!」

そうからかいながら、付いてきてくれた。

……………先生ありがとう。

一人だと不安で泣きそうだった指導も、側に夏苗ちゃんがいてくれるだけで

とっても安心できて、唯の知っていることを

沢山教えてあげたいって…純粋に思えたの。
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