別れるための28日の蜜日
「当然じゃない。元々、外壁塗装の間だけって話だったんだし。あんまり部屋空けっぱなしなのも防犯上良くないし」

決定事項として話すと、律人がスープのカップを置いて、じっと見つめてきた。

「それだけ?ホントに?」

瞳の奥まで射抜きそうな強い視線に、用意していた言葉が喉の奥で引っかかったまま出てこない。

「そ、れだけ‥‥だよ」

「部屋に帰るってホントに帰るだけって事なのか聞いてる」

口調もどこか責めるような強さで、どうやっても言うべき言葉が出てこない。出さなきゃいけないのに、「違うよ」って言わなきゃいけないのに‥‥。

「うん、そう」

「ならいい。」

「だからね、明日荷物を運ぼうと思ってるの。律人、お休みならクルマ出してくれる?」

「明日か‥‥悪い、明日は朝から接待ゴルフなんだ。明後日じゃダメか?それか、帰るの来週にするとかは?それなら休めるし」
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