別れるための28日の蜜日
約束した時間通りに町田さんは律人のマンションの前に車で来てくれた。予想外なシルバーのワンボックスカーに驚く私に、笑いながら教えてくれる。

「これ、姉の旦那さんの車なんだ。僕の車だと、あんまり荷物乗らないから借りて来た。ファミリーカーでびっくりしたでしょ?」

わざわざ借りて来てくれたんだ。流石に申し訳ないと思っていると、ぽんっと肩を叩かれた。

「これくらい、気にしないで。乗りかかった舟だし、僕も最後まで見届けたいから。さ、急がないと時間ヤバいんじゃないの?」

「‥‥ありがとうございます」


それから2人でせっせと荷物を運んで、私は律人の部屋にお別れした。律人にお別れする前に。














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