別れるための28日の蜜日
「どうせやる気でないなら、今日行く?ケーキバイキング」

相変わらずこちらを見ないままのお誘いに驚いて、ゆっくり町田さんに視線を向ける。

「今週の山内さん、幸せそうなんだか辛そうなんだかごちゃ混ぜになって自分でも整理ついてないみたいだから。糖分、頭の栄養になるよ」

そこまで言ってから初めて私を見た町田さんの視線は労わるような優しさが見えている。

町田さんが鋭くないなんて、完全に私の思い違いだ。私自身でさえ理解できてない感情を心配してくれてる彼が鈍いはずがない。

「‥‥ありがとうございます」

缶コーヒーに視線を落としてポツポツと話す。

「幸せですよ、私。幸せだけど、その幸せはヤメるべきだと思うから辛いのかもしれないですね」

抽象的過ぎる話にも町田さんは優しく頷いてくれる。

「辛いのも誰かなせいじゃないから。それに辛さはその先の幸せになると思ってるんです」

ダメだ、これ以上話したら涙が出そう。

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