甘々なボスに、とろけそうです。


「…………」


「考えてみて下さい」


「お待たせしました」


食事が運ばれてきたので、手を合わせて美味しくいただく。考えてなんて言われても、考えれば考えるほど、その話に乗っかりたくなる自分がいた。

必要としてもらえることが、嬉しかった。

だけど……


「室井さん、私、大学は辞められません」


それが、私の答えだ。


「すぐに返事しなくてもいいですよ」
穏やかな口調でそういう室井さん。


「……英語が好きだという理由で、今の大学に入りました。1度は、夢もできました。……今は、これといった夢はないです。英語も、あんなに好きだったのに聞きたくなくなる日もあります。ですが、残りの学生生活でどれだけのことを学べるかはわかりませんが、卒業までは過ごしたいです。辞めるわけにはいきません」


自分でもなにが言いたいかわからなくなってきた。


「その言い方だと、あまり充実しているわけではなさそうですね。なのに通い続けるのは、お金と時間の無駄なんじゃないですか?」


そんなことを言われてしまうと、まさにその通りのような気がして、学費を出してもらっている身としてはグサリと心に刺さるものがある。

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