甘々なボスに、とろけそうです。


そうすればあんな高級コーヒーや会員制ラウンジでミルクティーをご馳走にならずに済んだのに、なんて考えていると、店員さんがコーヒーを新條さんと私の前に運んで来てくれた。

店員さんが席から遠のいたあと、ティーカップを掲げて「さすがに、ここでは1杯3000円のコーヒーほどいいものは出てこないから」と新條さんがつぶやいた。


「そうなんですか」


「……君さぁ、前に僕がなんであのお店に連れて行って、1番稀少な豆の使われたコーヒーを頼んだかわかってないでしょ」


「……セレブだから?」


ため息をつくと「僕なりの、もてなしだよ。同じものでって言われると思ったし、言われなくても、みこにはあれを飲んでもらうつもりだった」と淡々と語る。


「え?」


「女口説くのに、無料コーヒーじゃカッコがつかないでしょ。こんなネタばらしするのも、どうかと思うけど」


……口説く? あぁ……、そうか。新條さんは、男女の友情はないから、私とて〝そういう〟対象なんだった。

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