甘々なボスに、とろけそうです。
(かっ……カッコイイ……!!)
俳優さんみたい。モデルでも通用しそうな容貌だ。
「何階ですか?」
エレベータの中に入ると、ボタンの前に立ち、そうたずねてくるインテリ眼鏡。
「28……あ、でも、27に先に行くべきと、管理人の田中さんが」
「へぇ。田中さんが」
納得したような男の口ぶりから、顔見知りのようだ。田中さんは、管理人室の長だったりするのだろうか。
男が、27階のボタンを押してくれる。
(この人もジェントルマンだ……)
「どうも、ありがとうございます!」
「ここは、初めて?」
「そうなんです……。迷っちゃいそうな広さですね」
「迷子の子猫、か……」
――へ?