甘々なボスに、とろけそうです。


1つ上の28階にやってきても、金髪くんはまだ猫プリの話を続けている。


『キャラのビジュアル、中の人、シナリオ――どれをとっても申し分ないから多方面からのコアユーザーがついてる』だとか、『差別化戦略での成功例』だとか。

前者の言い分は、十二分に理解できた。猫プリのイラストは美麗だし、起用されている声優さんは人気のある人も多い。

シナリオだって、本当によくできているなぁと。

一方、後者は理解できない。差別化……とは?

私には……いささか難しい単語だ。にしても、日本語、上手だなぁ。


こんなにも熱く猫プリを語る人を見たのは初めてなので、ワクワクしている自分がいた。

思わず頭を縦に振るなど、金髪くんの話にところどころ反応したくもなる。

が、最初に恥ずかしがってやったことのないフリをしてしまったせいで、今更、『実は好きなんです!』なんて言い出しにくくなってしまった。


男の子でも乙女ゲーム、するんだなぁ。ただプレイするだけでなく分析までして、まるで……


「開発者側の意見みたいですね」


思ったことが、そのまま口に出た。


「んー? だってボク、そっちサイドだもん」

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