甘々なボスに、とろけそうです。


(インセンティブ……?)


「インセンティブ――報奨金です。目標達成時などに応じて支給されるものです。ここの社員は、インセンティブで月に数十万~数百万の給与差が生じます」


室井さんが、わかりやすく補足してくれる。


「1万円も、いただけないです。しかもインセンティブなんて贅沢すぎます」


「心配するな。あまりにも使えなければ、即刻減給してやる。インセンティブどころか、邪魔をすればこいつは没収だ」


そういって、私の社員証を掴むボス。

と、ボスが社員証をまじまじと見つめ始めた。どうしたのだろう。


「……室井、この写真、俺に送っておけ」


(こ、こんなの欲しいんですかボス!?)


いきなり撮られて、おどけた顔ですよ。なんとも間抜けな顔ですよ。


「そうおっしゃると思ったので、送信済みです」


なに人の写真勝手にボスに送っちゃっているんですか、室井さん……!


「いいか、ミコ。俺は仕事で手を抜くつもりはないからな。別にボランティアしたいわけじゃない」


(……!)


ボスは、出会ってすぐの私に、なんだかとても優しいけれど……。プライベートと仕事とは、ちゃんと区別する気でいてくれているんだ。


「よろしくな」


「はいっ! よろしくお願いします!」


「それでだ。まずは、その格好どうにかしてこい」

< 60 / 194 >

この作品をシェア

pagetop