甘々なボスに、とろけそうです。
待ち合わせの相手って、この人なのかな。
「森に迷い込んだお姫様って感じ」
お姫様!?
「ここはね、リラクゼーションのフロア。ヘアサロン、エステサロン、ネイルサロンなんかがあるわ」
「オフィスビルなのに……ですか?」
「シアトルから日本初上陸したコーヒー専門店、どこも美味しいと評判の飲食店、フィットネスジム、内科、婦人科、歯科などのクリニック。ホテルになっているフロアもあるんだから、サロンくらいあってもなんら不思議じゃないでしょ?」
そ、そんなに色々入っているんですか!?
「……住めちゃいそうですね」
って、言った傍から子供っぽい発言をしてしまったと気づく。そんな人がいるわけない。あくまでここは、オフィスビルだ。
「住んでいる人がいるって言ったら……どうする?」
「えぇっ!」
「52階の謎、知らない?」
52階の……謎??
「お恥ずかしながら、このビルのこと、なにも知らなくて……」
「そうだよね。大学生がここに来ることないし、未衣子ちゃんは裕樹から、ここで働いてること聞いてなかったんだもんね」
この人は、兄を知っているのか。ボスに指示されて来たのだから、つまり兄の同僚さん……ってことだよね?