男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

ゾクゾクと鳥肌の立つような、喜びと興奮に包まれる。

城での帯剣を許してもらえたことでもあるし、これで剣術の授業以外でも剣を振るうことができる。


なんて、素晴らしいの!!


振り切れんばかりにテンションの上がった私は、大公殿下の執務室で素振りを始めてしまう。

ビュンビュンと空を裂く音を聞くのは、二日振り。
そう、たったの二日振りなのだが、随分と久し振りな気がして、楽しくて夢中になる。


クロードさんがワゴンの上で紅茶を淹れながら、「アミル、本当によかったの?」と問いかける声が聞こえてきた。


それに対して「いいだろ」と答える殿下の声は機嫌がよさそうで、

「おい、ステファン、カーテンを切り刻んでくれるなよ」と注意する声には、笑いが混ざっていた。
< 70 / 355 >

この作品をシェア

pagetop