『コーン』な上司と恋なんて
「大丈夫ですか?」


私はビールを1缶飲んだだけ。
課長はビールを2缶とチューハイも2缶飲んでる。


「大丈夫だよ。これ位なら帰れる」


「泊まって行ってもいいですよ」……とは、流石に今夜の雰囲気では言えない。


「気をつけて下さいね」


「うん、明日またな」



ポンポン…と頭の上を撫でられた。
私は課長にとって、ワンコみたいな存在なんだろうか。


(そしたらキューン…と鳴きたい気分だよ…)



もしも、泣いたら抱き締めてくれる?

鳴かなくてもいい…と朝まで一緒に居てくれる?


(言えないよ。そんなの…)


答えは保留のままだし、課長は明日全部を話すと言ったんだから。

ただ、それが本当に真実ですか?というだけ。

明日話してくれる事を全部、真実だと思って聞いていいんですよね…ってだけ。



「おやすみ」と言う課長に手を振った。

その手を握って、課長の唇に近付けて欲しい。



「おやすみなさい」


この言葉がどうか、課長の胸の中で言える日が来ればいいのに。


ドアを閉めて座り込んだ。

歩き去っていく足音が、ずぅーんと胸の奥に響いた……。


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