『コーン』な上司と恋なんて
考えながら部屋に戻らず出掛けた。

姉との約束事を果たし、ついでに未希に会ってから帰ってくると夕方。

いろんな場所を歩き疲れてクタクタで、寝るまでスマホの画面を見るのも忘れていた。


マナーモードを解除しようとしてスマホをバッグから取り出した。

午後に一度、課長から着信が入ってる。


「ウソ……気づかなかった……」


マナーモードになんてしなければ良かった…と思う。

今更だけど、かけ直してみようか…。


(でも、かけて何を話せばいいのかわからない)



次っていつなんですか?
今日は本当に用事ができたんですか?


口を開けば疑り深い言葉しか出せそうになくて、それを聞いてる自分の姿を想像するのが嫌だった。


(私は課長の彼女でもない。単なる部下が、上司のことを疑うなんて悪趣味だ)


そうは思っても課長の言葉を全部丸ごと信じきれない。

接点が増える前の課長の噂が、私の心に邪推を持ち掛ける。


昨日の約束はその場凌ぎのウソで、部下のアルバムが覗きたくて、つい見せてやると口から出まかせを言った。

上司だから疑われても抗議はされない。

だから、キャンセルしてしまえ……って。


課長にそう思われても仕方ない。
私がアルバムを見せるのを勿体ぶったからだ。

課長の言葉の裏に隠された意味を、もっと疑ってかかれば良かった。


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