契約彼女にした理由
「まだ会社。もう遅いから帰っても……。」


「待ってる。遅くても構わないから絶対に来いよ。」


「………今から行くから。1時間ぐらいで帰るけど?」


「わかった。」



私は机の荷物を片付けて、引き出しから鞄を取り出した。


残っている人達に挨拶をして会社を出た。大きく深呼吸をして最上階にある高級VIPラウンジに向かった。



「吉良様、お待ちしておりました。案内させて頂きます。」


「浜崎さん、篠崎から私が来るって聞いたの?」


「はい。このビルでは一日で噂になっております。」


「………噂ね……。父にも知られたわ。」



チラリと浜崎の視線が向けられるが、直ぐに前を向いて私を学の席まで案内する。


昨日同様に学達は目立つ存在だった。



「彼ら、人気者ね。」


「狙っている女性は山のようにいるでしょう。彼らはアッパーの人間ですから。」


「アッパーね……。浜崎さん、ありがとう。」
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