契約彼女にした理由
「私は学が好きよ。」


「葉月。」



遠ざかる足音が耳に届く。きっと誠が帰っていく音だろう。



「誠!これだけは聞いて!」



響いていた足音が止まった。私は学から体を離して誠の背中に話し掛けた。



「誠、私の人生は私が決める。父との約束であっても………最終的には私が決める事なの。」


「…………。」


「誠も縛られないで。父との約束でも、決めるのは私達だから。」


「…………。」



誠は私を見ることなく、エントランスから出ていった。


静まり返るエントランスに溜め息を吐いた。



「葉月、話を聞かせろ。」



不機嫌な学の声が降ってきた。手を繋ぎ、ラウンジ専用のエレベーターで最上階を目指す。



「んっ………。」



学の突然のキスに目を見開いた。すぐに離れた唇に学の視線と絡まり合う。



「覚悟しろよ、これからが本番だ。」


「何の本番なのよ?」


「愛してるって言わせてやる。」



再び落ちてきたキスに今度は目を閉じた。
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