契約彼女にした理由
「親父は認知した。お陰で、本妻とは仲が悪化した。飯島宗助の本妻の子供は俺達を憎しみの目で見る。」


「憎しみの目?」


「俺の母親が夫婦仲を壊したんだとさ。」


「息子は今、何をしてるの?」


「SIZAコンサルティングのロンドン支社長だ。」


「ロンドン………。」


「俺は母親がどんなに辛い想いをしたか知ってる。だから…………。」


「結婚はしたくない。違う?」



学の視線が私に向けられる。



「ああ。俺は結婚なんてしたくない。一人の女だけを愛せる自信がない。母のように女を傷つけたくない。」



じっと学と見つめ合う。



『結婚はしたくない。』



学の言葉に目を閉じた。



私と学は別れる運命なんだと――――



学の手が私の頬を撫でた。閉じていた目を開ければ、私を覗き込む学の瞳と真っ直ぐ見つめ合う。



「でも葉月とはずっと一緒にいたい。」


「学?」


「ずっと一緒にいたい。」
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