契約彼女にした理由

近づくタイムリミット

「葉月、おはよう。」


「誠、おはよう。」



ゴールデンウィークが目前に迫った5月。外の陽気も暖かくなってきた。


誠と二人で会社に向かう。



「来月だな。葉月、心は決めたのか?」


「…………ほぼ決まってる。」



言った言葉に悲しい気持ちになる。誠も私の雰囲気を察したように肩を軽く叩く。



「俺も幸せにしてやれると思うけど?」


「誠………。」


「葉月が言ったんだろ?自分で決めるって。俺も自分で決めるから。」


「………きっと………学は………。」


「葉月、俺は待ってる。」



エレベーターホールには多くの人が並んでいた。私達の会話はそこで途切れた。



「最近、学さんは?」



誠をチラリと見た。



「学はアメリカに行ってる。用事があるらしい。」



「へぇ~、アメリカに?」


「仕事も兼ねてね。」


「ふ~ん、それで一人?最近、二人で出社してただろ?」


「うん、そうだね。」
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