ダブルチェンジ
1.
…碧がゆっくり目を開けた。

目の前にはあの桜の木がある。…地震は収まったようだ。

ゆっくりと起き上がろうとすると、手に何かが当たった。
それに気づいた碧は、ガバッと起き上がり、ユサユサと揺らす。

「…紅!紅!大丈夫?」

「…ぅ、うーん。…碧?」

そう呟くと、ゆっくり起き上がる。

「…凄い地震だったね」

紅の言葉に、大きく頷いた碧。…あんな大きな地震があったわりに、周りはとても静かだ。

「…練習行こうか」

「…ねぇ、紅」
「…どうしたの?」

紅の袖を引っ張って、碧が止める。紅は何事かと首をかしげる。

「…三ノ宮は?」
「…あれ、そう言えばどこ行ったんだろ?…ぁ、ほら、あそこ」

二人と同じ弓道着を来た三ノ宮が、練習場に入っていった。

「…結局するんだね」

そう言って、紅が、クスッと笑う。碧もそれにつられて笑みを浮かべ。

「…だね。行こうか、紅」

二人で丘からかけ降りると、練習場に入った。

「…三ノ宮!先に練習するなんて、ズルいわよ」
「…碧も始めたらいいだろ」

三ノ宮に文句を言う碧に、紅が言った。

…そんな二人を、眉間にシワを寄せた三ノ宮が、見つめている。

それに気づいた紅は、すかさず碧の後ろに隠れた。

「…三ノ宮、また紅になんかしたの?」
「…」

「…三ノ宮、いい加減に」



「…お前ら誰だ?なぜ、俺の名を知ってる?」



三ノ宮の言葉に、二人は目を見合わせた。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop