目を閉じてください
24
―――それからひと月も経った頃。
文玻からメールが来た。
『大切なお話があります』
と。
次の日曜。
実家に叶多さんとふたりでやって来た。
「文玻さんと結婚させてください」
そう言って、居間の座敷で2人並んで正座した。
「………っ!?いつの間に!?」
全く知らなかった。
というか自分のことで頭が一杯だった。
「こちらこそ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
目の前で。
テレビでよく見る光景が。
「よかったね!!お姉ちゃん!!」
「おめでとう、文玻。3ヶ月一緒に暮らしてよかったみたいね」
同棲、という言い回しをしないということは、やはり叶多さんもそれなりのご家庭ということか。
「え"っ??お母さん、知ってたの??」
「ダテに母親してないからね。いつ来るかと首を長くして待ってたのよ」
知らなかったのは私だけか。
最も人の恋愛話に興味がないのは昔からだから、聞いても耳には届いていないし残っていない。
世間一般では、親よりまず姉妹で恋バナを楽しむものだろうけれど。