目を閉じてください
「ちなみに真部氏は、来月婚約者と海外で挙式される予定らしいですよ」
エレベーターを乗り替えると、
「そそ、そうなんですねっ!?おめでたいお話じゃないですか!!わっ!!私には関係ないお話ですけどっ!!」
動揺しすぎだ。
―――でも。
胸が、ズキンとした。
わかってたことなのに。
いざ告げられると。
こんなにも痛い。苦しい。
なんで???
自分が自分じゃないみたい。
こんな感覚、今まで知らなかった。
「顔色が優れませんよ??やはり帰りますか今日は」
覗き込まれてハッとする。
「だ、大丈夫、です」
むしろ気分転換にでも飲まないと、このままずるずると自己嫌悪に陥りそうだ。