目を閉じてください
殴られて口元を拭う叶多さんを庇って寄り添うと、
「大丈夫ですか!?」
そして、キッと振り向き、今度は私が真部さんに近付いて頬を打っていた。
パン!!
という音が、フロアに響く。
傍にいた女性もスタッフも、あっ!!となった。
「…最っ低…」
呟くと、叶多さんに寄り添ってハンカチを差し出した。
打たれたまま固まる真部さん。
「大丈夫!?」
寄り添う女性の腕を振り払うと、項垂れ、無言で身を翻した。
ちょうど来たエレベーターから若いカップルが出て来たけれど、ぶつかるように入れ違いに乗り込んで、慌てて女性が謝りながら着いていく。