不審メールが繋げた想い

会って返す事が嫌というのでは無くて、遠いから…。送っていいものか…。
各務さん…。各務さんにお願いしてもいいんだろうか…。

【今晩は。真さんから預かった指輪をお返ししたいのですが、どこに送ればいいでしょう。こんな事を各務さんに聞いていいのかどうか解らないのですが。真さんのお母さんが具合を悪くされた日から、連絡を貰えていなくて。すみません】

やっぱりこんな事まで各務さんに聞いても…。

【今晩は。詩織さんが決めて返して良いのですか?】

あ…、そうだけど。でも…、これからどうするのかも、何も連絡が無い。もう私はいいのかも知れないから…。

【まず真に連絡を。返信に時間が掛かるかも知れませんが、連絡が来るのを気長に待ってみてくれませんか。どうするかはそれからですよ。返すと決まったのなら、方法も決まるでしょうから】

…うん、凄く当たり前の事だ。それはそうなんだけど。その、元々中々来ない返事というのが…中々来ないのですよね。

【解りました。返信が来るのを待ってみます。変な事をメールしてすみませんでした】

…はぁ。悩んだからって、何でもかんでも各務さんに言って見ればいいってものではない。各務さんなら何でも解決してくれそうだと思ってるなんて…。
真さんとの連絡に間が空いてしまっていると、なんて話を切り出したらいいのかも解らなくなってくる。返事が無いのに、ずっとお母さんはどうですかばかりを聞くのも…。
…正直に言えばいいんだ。そして連絡が来るのをただ待っていたらいいんだ。

【お母さんの具合はどうですか?真さんの家に行って、お母さんに会いましたし、私はもういいんですよね?預かったままの指輪の事で相談があります。高価な物ですし、ずっとこのままという訳にはいかないので、ご連絡を頂きたいのですが。難しいでしょうか】

もういいだろうから指輪を返したいみたいな話…一方的で、こんなの受け取ったら何だか気を悪くするかな…。でも何かしら連絡はほしい。お母さんの様子だってずっと解らないままで凄く気になる。
私は身内でも無いし、本当の結婚相手でも無い。だからそれも、もう教えてくれないのかもしれない…。
それでも、とにかく連絡は欲しい…。
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