甘い天秤
「え…?あっ、はい。…綾も一緒に。」


そろそろと、笹川さんの隣の席に移動する。
なんか、凄く見られてる…。やはり、笹川課長だからか…。


「いや、笹川さんだけじゃないからね!」

「え?なに?」


どうやら、心の声が漏れて綾に聞こえた様だ。


「だから、笹川さんと凛だからでしょ!」

「?何で私?」

「凛、あんたいつになったら気づくの?」


少し呆れたように、綾からそんな事を言われる。


「なにを?」

「あんた…。めちゃくちゃモテるんだからね!会社では、高嶺の花って言われてるのに…。」

「私が!?…モテてないよ。告白とかされたことないし…。」


綾と押し問答をしていると


「そんなところも可愛い。…ギャップだね。」


笹川さんがなかなか来ないからと、私たちが立ってるところまでやってきた。


「ほら!凛!笹川さんも、そう思いますよね?」

「そうだね。あ!俺も名前で呼んでもいい?」

「え?は、はい。どうぞ。」

「じゃぁ、凛さん行こう。佐伯さんも。」

「そうですね。ここに立ったままだと視線が痛いからね…。ほら、凛!」


なぜか、綾が返事をして席につく。席についてからも視線を感じるものの、立っているよりは幾分かマシだ。



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